自然素材の家のメリットとデメリット

2026/3/8

自然素材の家をテーマに住宅メーカーがつくるようになったのは2000年頃。そこから20年以上が経過しました。

当時はまだ珍しく、そこから10年くらいすると工務店を中心に自然素材の家という言葉を使うようになり、世の中に定着してきました。また健康を意識した建材も増えてきました。建て主にとっても自然素材の家というキーワードが家探しの1つにもなりました。

 

しかし家を購入する人の中で、「自然素材」や「自然素材の家」を優先順位に挙げる人はどれくらいなのでしょうか。

これまで25年程住宅の設計、営業のお手伝いをしてきた私の感覚としては全体の50%もいない気がします。

多分30~40%くらい...

 

1.そもそも自然素材の家とは?

お客様とお話していると自然素材の家についての定義は曖昧です。それは設計士やハウスメーカー、工務店の説明や定義付けが曖昧だからだと思います。

何となくボヤっとした感じで「自然素材の家」と言われているのは、内装材の一部を自然素材を使っている家。

例えばフローリングが無垢材を張っているとか、壁や天井の一部が漆喰や珪藻土、板張りとなっている。予算がないので1階だけ無垢のフローリングを張っていたり、リビングだけ壁や天井に自然素材を使うだけで自然素材の家と言われたりしています。それ以外はビニールクロスやシート貼りのフローリングが使われています。

家の骨組みとなる構造については木造でつくられていることだと思いますがこれも曖昧。さすがに鉄筋コンクリート造は自然素材の家とは言わないですが鉄骨造であっても内装が自然素材を使っているとボヤっと自然素材の家の仲間になっているようにも思います。

 

また自然素材を表す言葉として「無垢材」というキーワードがよく使われます。でも建て主さんの中でこの「無垢材」が何かもよくわかっていないことが多くあります。

 

辞書を引くと無垢材とは「1本の原木から切り出された、接着剤や合板などの混じり物がない100%天然の木材」だそうです。

私はてっきり鉄や真鍮、アルミ、皮なども無垢材と思っていましたが、金や銀など交じりっ気がない純粋なものを「無垢」と言うそうです。設計士の私も勘違いしているから「自然素材の家」というのはやはり曖昧になりがちです。

 

独断ですが私が思う最低限の「自然素材の家」は次の4つを守っていること。

 

構造材は木造(できれば枠組構法以外)

・内装床は合板フローリングやビニールシート以外

・内装壁・天井はビニールクロスや化粧シート貼り材以外

・その他の内装材で石油製品ができるだけ使われていないこと

 (シート貼りの建具や枠材、棚板など)

 

 

それ以外にも断熱材キッチンや浴室など家を構成する部材はたくさんあります。ただすべてを自然素材だけでつくることは家の強度や耐久性、コストなどにも関係してきますので、家の中で暮らす私たちが直接手足に触れる内装の主要部分が自然素材や石油製品を使っていない材料でつくられていること、健康的なつくり方であることものを「自然素材の家」と考えてこれからの話を進めていきたいと思います。

 

2.自然素材の家のメリット

1つ目は、自然素材でつくられた室内は調湿性に優れています。フローリングや壁板など木は湿気を吸ってくれます。漆喰や珪藻土も同じです。だから自然素材の家は梅雨時期のジメジメとした空気を内装材が吸ってくれるので心地よい空気感となります。冬は乾き気味になるので加湿器をして丁度いいと思います。室内の湿度が低いので洗濯物がよく乾きます。

 

実際には内装材の奥にある柱や梁、下地材の木材も湿気を吸ったり吐いたりして家の湿度を調整してくれています。実は室内に木や塗り壁をすればいいというわけではなく、構造を含めて家全体に湿気が抜ける「透湿する家」にすることが重要です。その湿気が耐震パネルや通気層を通って外部と調湿できること、逆に言うとどこかで湿気が留まってしまわないようにつくることが大切です。

 

2つ目は、木材は温かい空気を含んで、家を温かくしてくれます。特にパインや杉などの針葉樹は柔らかくて傷がつきやすいのですが、その分空気層が多いので室内の温かい空気を溜め込んでくれます。家の中で人が一番触れる床は温かくて柔らかいので、裸足で暮らす日本人にとってはとてもいい材料です。

 

でもここにも気をつけなければいけないことがあり、木材が呼吸できるように表面をウレタン塗装などで被膜しないこと。オスモやリボスなどの自然素材系のオイル塗装を使うことで木の特性を活かすことができます。もちろん米ぬかやミツロウなどもいいと思います。

 

3つ目は、自然素材が持つ質感やツヤ感が視覚的に心地よいこと。木の木目や生地感、塗り壁の凹凸やこてムラがやさしい光と表情を生み出し、居心地を良くしてくれます。ビニールクロスや化粧シートのテカった光や、均一な表情とは違います。

 

4つ目は、自然素材は住みはじめてから傷も含めて使い込んでいくもの。手入れをしながら一生ものとして使っていくことができます。

それに対して新建材系の内装は傷つかない、汚れないように維持していかなければいけません。ビニールクロスはいつかは貼り変えなければいけません

 

2つ目、3つ目に話した手触りや質感、やさしい光の空間、そして使い込んでいくという気楽さを含めて、自然素材の家の一番のメリットは精神的に体にいいというところだと私は思います。

 

3.自然素材の家のデメリット

ではデメリットは?

当たり前ですがコストが高いです。床材ではパインや杉など針葉樹は安めです。また成長が早いので4mくらいの1枚板で張ることができます。ナラやタモなどの広葉樹は成長が遅いため1枚板が入手しにくく、60㎝前後で継ぎ足したユニ材と呼ばれるものが主流となります。それでも価格は針葉樹の約2倍。1枚板となると3~4倍の価格となってきます。

見た目の問題はありますがユニ材は決して悪いものではなく、エコハウスでは普通に使用しています。

また板材は反ったり割れたりするのではと心配される方もいますが、それは建築会社の材料選定の問題と大工さんの知識と技術の問題だと思います。季節によって伸びたり縮んだりはしますが、まずは質の悪いものは使わないことが当たり前。また木が動くことを見据えて寸法を考えて張ることで何も問題は起こらないはずです。

 

塗り壁材などは割れが心配されます。木造の家は揺れたり動いたりしますので、壁や天井のコーナーに割れが入ることはしょうがないと思います。また窓枠などの木材との取り合い部分も木の収縮などにより隙間が生じます。

これらは昔の土壁の家のように外まで見えてしまうということは今の家のつくり方では起こりにくく、塗り壁に隙間ができたとしてもその奥にはしっかりと石膏ボードなど下地材があるので壁に穴が開くということはないので安心してください。

 

ただ壁の真ん中が下地の継ぎ目が動いて割れてしまうというのはやはり施工の問題です。もしかして隙間の開いた壁の下地から外が見えてしまったとした場合も施工の問題。床材と同じく建築会社の知識と技術、材料選定の問題だと思います。

また傷や汚れがつくと心配される方も多いです。当然傷や汚れはつきます。でもこれは新建材やビニールクロスでも同じです。

 

無垢材の床でオイル塗装仕上げとしたものは消しゴムや紙ヤスリなどを使って自分で直すことができます。パインや杉の柔らかいフローリングの傷はティッシュなどで水分を与えることで直ったりもします。究極は電気サンダなどで表面を少し削ることで新品のようにきれいにすることもできます。30~60mmくらいある天然木一枚板のテーブルなどは同じ方法できれいにしたり再利用されています。

塗り壁も自然素材の比率が高いものは、消しゴムや紙ヤスリ、メンテナンス用の材料を使ってDIYで直すこともできます。

 

自然素材のデメリットとは、自然素材を熟知した建築会社と出会うことができるかどうかだと思います。自然素材は使い込んでいくものとお伝えしましたが、建て主が自分たちでメンテナンスできなければとても扱いずらいものになってしまいます。DIYで女性でもメンテナンスができる素材、仕上げなどの選定をすることが建築会社の責任だと思います。

でもその会社を見極めることって、素人の建て主さんにとっては難しいことかもしれません。

 

4.よくある後悔ポイント

自然素材を使って後悔したこととは後悔させてしまったことかもしれません。

それは素材が割れたり反ったり外れたり、折れたりして不具合が出て使いづらくなったり、メンテナンスが自分ではできずに汚くなっていくこと、直すとなると高額な費用が掛かることになってしまったことなどが想像できます。建築時にしっかりとコストを賭けたのに楽になるどころか余計にお金がかかってしまったとか。

 

デメリットでお伝えした通り、これは建築会社の知識不足、技術不足であったり、建て主さんへの説明不足が原因だと思います。また設計士や建築会社の好みや価値観の押しつけ、自然素材を求めてきた建て主さんの住み方というかメンテナンスに対する理解度とスタンスをしっかりと話し合うことがなされなかったから起きてしまったことだと思います。

 

例えば古い車は手が掛かるし、乗りずらいし、暑いし寒いかもしれません。でも好きだったらそれらすべてが愛おしく楽しいものとなります。

 

建て主さんのことをしっかりと理解して、その人たちに合うものを選別しつくっていく。そういった会話力が大切だと思います。

 

 

これまでたくさんの自然素材の家をつくってきました。その中には選択した材料が悪くてご迷惑をかけてしまったこともあります。でも逃げずにしっかりと向き合って解決のために対処させていただいています。自然素材の家のプロになるために。

 

 

「自然素材の家」を検討されている方へアドバイス。

 

自然素材の家はいいものです。

 

素材のもつ力が私たちの五感をやさしく刺激してくれます。

 

季節ごとに違った光を映し出してくれます。

 

刺激された感覚が、食事や着るもの、食器やインテリアなど

 

暮らしへの意識も刺激してくれます。

 

こどもたちは自分たちが大切にこだわった素材に触れて育ち、

その思いをからだの中に刻んで成長していきます。

 

 

家は買うものではなくつくるもの。

 

注文住宅、自然素材に興味を持ったのであれば

しっかりと時間をかけて、

人生にとって大切な家の時間づくりをしてください。

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