高気密高断熱と家づくりのバランス

2026/2/6

最近の物価高により私たちの暮らしの中で出費を抑えるために住空間における省エネが必須となってきています。またCO2削減のために建築を取り巻く法律も省エネに対して段階的に基準を厳しくなってきています。

住宅の省エネ化のためにはまず建物の断熱性能を上げること。そのための対策として主となるのは以下の3つだと思います。

 ・屋根・外壁・基礎の断熱性能と施工方法

 ・サッシ・ドアの開口部の断熱・気密性能

 ・外部との換気部分の熱のロス

それらを踏まえた「高気密高断熱住宅」が住宅の理想系とし、ハウスメーカーがこぞって住宅商品を展開しています。一般的な高気密高断熱住宅の仕様は、グラスウールや発泡系断熱材を使い、透湿気密フィルム貼り、ペアガラス以上のサッシ、機械制御による熱交換型第1種換気です。空調はエアコンがメインで、床暖房を売りにしている会社もあります。

私が高気密高断熱と言われてつくられている住宅に入っていつも感じるのは、室内にいても気持ちよくない、空気が動いていないような息苦しさだったり、部屋の空気や臭いが自分の体に馴染まない、気持ちの悪い感覚です。このような感覚を持つ人の多くが高気密高断熱住宅に対して不安を感じているのではないでしょうか。

家は一番リラックスする場所なのにどこか緊張感があるのです。家は街や旅先で出会った居心地のよいカフェや旅館よりもリラックスできる空間であるべきだと思います。もちろん体が慣れてしまうとどれも普通になってきますが、家は五感が開放される場所こそ理想の形だと私は考えています。

日本の高気密高断熱住宅にある息苦しさや気持ち悪さの原因は何か。

日本の多くの住宅は、外気からの影響を抑えるために断熱性能と機密性能を高め、室内を密閉空間にする。室内で発生した湿気や呼吸から生まれる二酸化炭素などは機械換気でコントロールし、できるだけ外の湿度を室内に取り込まない。そして室内を取り囲む内装材についても、床は合板フローリングで最近は表面の板も木目調のフィルム貼り、壁と天井はビニールクロスです。窓枠や内装ドアや収納の棚板なども合板の上に化粧フィルムで仕上げられています。

これらのつくり方で一番良くないのは、室内の空気がそのままなことです。フィルムやビニールクロスは湿気や臭いを通さないので、室内は高気密高断熱と相まって密閉空間となっています。

例えば料理の時に出た湯気や臭いは室内に充満します。それらはレンジフードや第一種換気扇で室外へ放出されます。人の息に含まれる湿気や体温、汗も同様に換気されます。その量のバランスが悪くなると窓が結露したり、空気の対流がない州の内部にカビが発生したりします。インターネットで結露対策を調べると、最後は窓を定期的に開けて換気をしましょうと書いてあります。臭いを吸着したり、光触媒によってウィルスを分解する内装材もありますが、どこまで効果があるか、いつまで性能が保てるかは疑問が残ってしまいます。四季があり湿度が高い日本において高気密高断熱と結露の問題はどこまで行ってもイタチごっこ。だからまだ多くの方が高気密高断熱を素直に受け入れられない気がします。

40年前の日本の住宅は暑くて寒かった。その理由は床下の断熱がなく、屋根の断熱も天井裏に雑に敷いてあるだけで、サッシも1枚ガラスで隙間だらけ。

だから隙間をなくすための気密性と高断熱化は必要です。でももう一つ大切なのは家の中の空気が気持ちいいこと。そのために必要なのは「透湿すること」。断熱性、気密性を保ちながら室内で発生した臭いや湿気が床や壁、天井を透過して構造躯体全体を含めて調湿してくれることです。木造住宅の柱や梁、下地の木材は湿気を吸ったり吐いたりしてくれます。ビニールクロスの下地に使われる石膏ボードそのものも湿気を通してくれます。その上に仕上げるものを漆喰や珪藻土などにする。フローリングも無垢材とし、呼吸する自然系オイル仕上げとする。断熱材や外部に貼る構造面材についても透湿するものを選ぶ。それらの力によって、室内の湿気や臭いが床や壁、天井で吸収、調湿したり、透過して構造躯体で調湿し、室内の空気を自然なものにコントロールしてくれます。

またフローリングや壁板などに木材を使用することで、木材自体が冬に温かい空気を含んでくれるので、室内の保温性能を高めてくれます。

私たちエコハウスはこれらのつくり方を大切にして家づくりをしています。魔法瓶ではなくダウンジャケットのような蒸れない温かさのある住まい。

最後に空調について。世界の先進国の多くは全館空調が主流で、寒い、暑い部屋を局所的に空調する国は日本と中国だそうです。建築設計には全館空調が理想的だと思います。でも導入コストや電気代が高く、結果エアコン、床暖房の局所空調が主流です。エコボードが生まれたドイツは全館空調です。ドイツの電気代を調べたことがあり、日本とそれほど変わりませんでした。つまりお金のかけ方の考えが違うというのが私の解釈です。健康のためにお金を使うか、それ以外に使うか。日本人は耐え忍ぶ民族ゆえの結果のように思います。エアコンは冬場どうしても室内空気が乾燥します。床暖房だけでは室内全体を温かくはできません。ガスファンヒーターは湿気も出るのでエアコンよりはいいですが、ガス代が結構します。空気の動かない輻射式パネルヒーターや昔流行った蓄熱暖房機などが理想です。でもランニングコストが...

そういった悩ましい問題の落としどころとしては、エアコンやガスファンヒーターを使うが短時間もしくは弱電力で十分温かい、涼しい断熱性能のある家をつくることです。温めたり冷やしたりした空気が家の中に保たれる断熱性と遮熱性を持つこと。室内の空気がきれいで湿度が適正であることで空調の体感温度がよくなること。無垢のフローリングが温かい温度を含んでくれることで床が冷たくなかったり、夏の湿気に関係なくサラッと気持ちいい肌触りであること。

元々自然と共に暮らしてきた日本人にとって、こういう家づくりこそが馴染みのいい、親しみのあるものでなはいかと思います。もちろん家のコストも年々高くなっており、こう言った仕様にすることは決して新建材の住まいに比べると安くはありません。でも「透湿すること」を基準にして、家の予算に合わせてバランスをとって材料選びをしながら家づくりをすることは可能だと思います。良き相談相手となる建築会社との出会いが大切ですね。

 

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