「脱石油」~石油に左右されない家づくりについて~

2026/4/24

最近の世界情勢により日本中でさまざまなものが販売停止や値上げになり、私たちの中に将来に対する不安が生まれてきています。分かってはいたもののいかに世の中が石油からできているかを思い知る機会になりました。


石油はとても万能であり、いろいろなものが安価に大量生産できる原材料として、昔に比べてあらゆるものがプラスチックやビニールなどに置き換わってきたように感じます。同時に安くできるから私たちも毎日のように石油でできたものを安易に使い捨てている。逃れられないスパイラルです。
住宅においてもたくさんの石油由来の材料でできています。
現時点でユニットバスの供給が見合わせになったり、塗料のシンナーがなくなったり、ビニール配管が販売停止になっています。家は何かがなくなった場合、変わりのもので代用できる場合もあります。ただユニットバスが入らないとなるとさすがに工事も途中で止まってしまいます。
輸送や製造過程での機械の燃料は別として、現在の長期優良住宅同等の耐震性能や省エネ性能をクリアする家をつくる場合、できるだけ石油に左右されない材料として何が選択できるか考えてみます。

 

1. 耐震性能
基礎は鉄筋とコンクリートでつくられます。コンクリートはセメントと骨材と呼ばれる石材でつくられるので合格です。
構造材については、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造があります。
鉄筋コンクリート造、鉄骨造は問題なしです。
木造の中でツーバイフォー構造については合板を主に使います。合板は木材を接着剤で何層にも張り合わせてつくられますので不合格。
私たちが取り扱う木造軸組構法(在来工法)についても、今主流の集成材の柱・梁については接着剤を使うので不合格です。昔からのヒノキや杉の無垢材は合格です。

 

耐震性能については、鉄筋コンクリート造、鉄骨造は合格。
木造軸組構法は、ダイライトやパーチクルボード、合板といった耐震面材で外周部壁面を固めます。これらは接着剤を使っているので不合格になってしまいます。
石膏ボードやケイ酸カルシウム板などでも耐震パネルとなりますのでこちらは合格です。ただしいくら耐水タイプがあるとは言え、水に強いわけではないので長い目で見ると耐久性に不安は残ります。
昔ながらの木製または鋼製の筋交いだけで耐震性能2や3を確保できるかというと可能だと言えます。ただし面材の方が壁の強度のばらつきが少ないのでちょっと不安な点も残ります。大手ハウスメーカーでは木材を格子状に貼り合わせたパネルもありますが、格子部分が接着剤で固定してるので、今回の基準では不合格となってしまいます。
2階建て住宅の場合、床の剛性を取るために構造用合板を使うことが当たり前となっています。合板以外ですと無垢の杉板を横方向につないだボードがありますが、そのつなぎには接着剤を使っています。昔の家のように12mm程度の無垢板材で床剛性の計算もできますが、強度としては低いためそれだけでは難しいです。鋼製の水平ブレース材などもあります。ただし設置個所数や施工手間を考えると大変そうですが、とりあえず合格です。
平屋であれば床の剛性については計算外となりますので合格。
床と同じように屋根についても剛性が必要です。こちらも床と同じ材料を使いますので同じ問題が発生します。

 

木造における耐震性能について石油に左右されない構法としては下記の通りとなります。

 

1. 構造材は無垢材を使用
2. 壁の耐震性は石膏ボード・ケイ酸カルシウム板系面材と筋交いで確保
3. 床と屋根の下地材は無垢板材とブレース材を使用

 

ただし、3の床と屋根の剛性を実現するためには家の間取りについて細かく区切ったりして耐力壁をしっかり確保する必要があり、簡単には問題をクリアできなさそうです。

 

2.省エネ性能
家の断熱は、屋根、外壁、床下の3つとなります。
石油由来ではない材料は主に4つです。

 

1. 土壁(土・ワラ)
2. 羊毛
3. セルロースファイバー(紙)
4. エコボード(木質系)

 

土壁は床と屋根には利用ができません。またそれだけでは省エネ性能を確保することは難しいため別の付加断熱が必要となります。
羊毛は、セルロースファイバー、エコボードは屋根、外壁、床下に対応できるので大丈夫です。あとは基準を満たす厚さをプランに合わせて検討することとなります。
そして開口部、つまり玄関ドアやサッシも省エネ計算の対象となります。
サッシは外側がアルミ製で、内側が樹脂製のアルミ樹脂複合サッシが一番多いです。内外とも樹脂製のものも最近日本では増えてきました。
省エネ性能を確保する点、窓の結露による下地木材の腐朽を防ぐ意味でも内側が樹脂製は外しがたいです。ただ今回の脱石油の論点からすると、日本のアルミサッシはどれも不合格となります。合格できるサッシは、木製サッシのみとなりますね。
玄関ドアについても断熱性能を確保するためにドアの内部にウレタンボードなどを使用していますので不合格となってしまいます。
こちらも木製ドアであれば合格できそうです。

 

3.屋根と外壁
家を風雨から守る屋根と外壁についてはどうでしょう。
屋根は瓦、ガルバリウム鋼板、スレート材が選択できそうです。これらは通常よく使われるものなので一安心。
外壁は、板張り、ガルバリウム鋼板、タイル張り、モルタル塗り壁、漆喰壁が使えます。


ただし屋根と外壁において、塗料によって色をつけているものは無塗装となってしまいます。ガルバリウムは素地色のシルバーのみ。サイディングは下地のままとなってしまうので劣化の観点で使用不可としています。モルタルも仕上げ材が塗ることができないのでセメント色のままとなります。

 

4.結論
耐震性能と省エネ性能を中心に検証をしてきました。
プランニングに工夫が必要で、場合によっては希望の広さが取れない可能性もありますが、構造、断熱材、サッシ・ドア、屋根、外壁は材料を確保でき、家を建築することはできそうでした。
ただし木製サッシや断熱材など、大手ハウスメーカーが使うアルミ樹脂複合サッシやグラスウール断熱材に比べるとかなりのコストアップとなります。


私たちエコハウスも木質系断熱材エコボードをはじめ、内装についても無垢材や漆喰のみを使って家をつくっているため、建築費としては高い家に属します。
でも家にそこまで費用をかけていただく理由としては、家が30年以上品質や性能を変えずに家族を守り、次の世代に引き継がれていくものを目指しているからです。


実際には石油なしでは今の時代の暮らしの質を担保する家をつくることは不可能です。土壁を軸とした日本の伝統的な家にすることは、やはり断熱の観点、特に冬の温かさの確保について私として疑問が残ってしまいます。
日本人は耐えしのぐ民族ですが、もうそれは違う気がします。
質や性能を上げ、長持ちする家をつくることで石油をはじめとする天然資源の無駄づかいを抑えることができる。そんなことを家づくりの過程の1つの選択肢となっていけるといいですね。

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